今回は院長さんや、採用担当の方々に向けて、歯科衛生士の求人について書きたいと思います。
我々は歯科専門の転職エージェントとして、様々な医院からご依頼を承っていますので、採用担当者さんにとってヒントになるお話が出来るかと思います。
最初にお断りしておくと…転職エージェントを使ってください!という結論にはなりませんので、ご安心ください。
歯科衛生士の求人に応募が来ない理由
実はとてもシンプルな問題です。医院の数に対して、歯科衛生士の数が少なすぎるのです。
日本は少子高齢化社会。今までのように「20代の若い人を雇おう!」としても、なかなか難しいのが現実です。
とくに、あなたの医院が特別便利な場所にあったり、オシャレな内装だったり、他よりも良いお給料だったり、圧倒的な福利厚生や休日が無い場合、何も工夫がなければ見向きもされません。
歯科衛生士さんが「働く場所を選ぶ」時代、選ばれる医院となるために必要な対策を解説します。
嘘や誤解は辞退や早期退職に繋がる
求人票や面接で良くあるのは、自医院のメリットを「よく見せようとし過ぎ」る医院さんです。
嘘を言わないまでも、「嘘では無い」くらいの説明では、相手に誤解を与えてしまいます。
求人票や面接では他院と比べた場合のデメリットもきちんと伝えましょう。
たとえば…
- 6時が定時ですぐ帰宅できるけど、昼間はとても忙しく、昼休み以外に全く休む時間がない医院。
- 見込み残業込みで平均より高い給与でも、「見込み残業」が常習化している医院。
それぞれ「早く帰れる」メリット「給与が高い」メリットがありますが、反面、デメリットも有りますよね。
医院の経営や給与の形態はトレードオフになりがちで、どちらも良くあるケースです。
また、人は良い事ばかり伝えられると「何か裏があるのでは…」と心配になってしまう生き物です。
他院と比べて大変な事や、メリットの裏返しもきちんと説明する事で、応募者の信頼を得る事が出来ると言えるでしょう。
きちんと説明し、お互い合意の上で仕事に取り組む事が出来れば、デメリットも強みになります。
「しっかり仕事して早く帰ろう!」
「沢山仕事して稼ごう!」
とポジティブに捉えてもらう事が大切です。
求職者との間に齟齬があると、早期退職が出てしまい、何度も転職エージェントを使う事になってしまいます。
長期勤務で院内のオペレーションに慣れる事もなく、入職・退職に伴う事務仕事も増え、コストばかりが嵩んでいる医院さんは少なくありません。
心当たりのある院長さんは居ませんか?
衛生士の方が院長よりも医院を客観視出来ている
開業した院長さんは、ほとんどの場合、自分の医院内で勤務することになるでしょう。
しかし、衛生士さんは違います。何度か転職を経験している人も少なくないですし、衛生士さんの間で「前の医院はこうだった」という話が頻繁に行われています。
これが「院長のあたりまえ」と「衛生士のあたりまえ」に差が出てしうまう一番の原因です。
- 「この院長は◯◯の処置下手だ」
- 「衛生士に◯◯の仕事までさせる」
- 「導入しているソフトが不便だから残業がある」
- 「院長がオペレーションを組むのが下手仕事の効率が上がらない」
などは「衛生士の愚痴あるある」なのですが、必ずしもタダの愚痴ではない事は覚えておいた方が良いでしょう。
院長が他の医院との違いを客観視できてこそ、良い経営が出来ますし、良い人材が集まり、定着するのですから。
我々転職エージェントは、普段から歯科衛生士さんの退職理由をよく聞いています。
転職理由に上記の理由が出てくる事も少なくありません。
我々も全ての情報を鵜呑みにする訳ではありませんが、衛生士さんが「そう思ってしまっている」のも事実なのです。
「退職されない」医院 = 応募が集まる医院
さて、ここまでご説明してきたように、
- 就業条件が衛生資産に「正しく」伝わり
- 自医院の事を客観視できている
医院は、なかなか人が辞めません。辞めても直ぐに人が集まります。
それは、この2つが出来ていると「求人票を書くのが上手に」なるからです。
何故でしょうか。
次の項で説明いたします。
応募が集まる歯科医院の求人票とは?
「誰でもいいから人手が足りない!来てくれ!」
と思って求人を出す医院は少なく有りません。
でも、そんな医院に限って人は集まりにくいですし、直ぐ人が辞める傾向にあります。
何故でしょうか。
ここまで読んでいただいた方は、この先が予想できているかと思います。
求人票の事を考える前に、まず、仕事を探している歯科衛生士について考えてみましょう。
仕事を探している歯科衛生士さんは、前の職場を辞めているか、育児等で職を離れていたか、今の職場を辞めるつもりか…
とにかく「基準となる条件」が存在します。
- 忙しくても良いからもっと稼ぎたい
- 審美歯科だったけど治療のスキルを身につけたい
- 治療内容や仕事内容に拘りはないけど、午前中だけ勤務したい
- クリーニングを上手に出来るようになりたい
- 最新設備のある医院で、最先端の歯科治療を学びたい
などなど。人によって様々です。
この衛生士さんが考えている条件を、自医院に上手くマッチさせられるかが、求人票作成のコツなのです。
「誰でもいいから人手が足りない!来てくれ!」
という思いだけで、求人票を作成し、ついつい
- 「和気藹々とした楽しい職場です」
- 「風通しの良い職場です」
だけで片付けていませんか?
もちろん明確に目的がない「なんとなく」の衛生士さんもいらっしゃいます。
そのような衛生士さんはこの手の求人票に応募し易い傾向にあるのですが、帰属意識も低く、定着しない事も多い傾向にあります。
「なんとなく」の医院と「なんとなく」の求職者がマッチしているのです。
「誰でもいいいから人手が足りない!来てくれ!」
と募集すると
「なんでもいいから働かせてくれ!楽に稼がせてくれ!」
という求職者が集まるのです。
ベテランを適切に扱える医院は「儲かる」医院
若い衛生士さんを取りたがる先生はとても多くいらっしゃいます。
「接客業だから」「男性客のウケが良いから」「育てたいから」などの理由を語る先生もいらっしゃいますが、Hellowa.netでは、20代・30代だけでなく、シニアの歯科衛生士さんもご紹介しています。
定年を過ぎても現役で働く衛生士さんも多くいらっしゃるのです。
確かに、体力的な面で若い衛生士さんに敵わない点も有りますが、子供の扱いが上手だったり、処置のパターンに詳しかったり、働く理由が明確でトラブルが少なかったり、と、強みも沢山持っています。
そして、シニアの衛生士さんを雇える医院ほど、経営状態が健全な華香があります。「儲かっていて、スタッフの離職率も低い」医院なのです。
ベテランやシニアを雇える医院は、スタッフの個性や年齢によるハンデをカバーして良さを引き出すオペレーションを構築できる医院さんです。
それだけ仕事を細分化し、適正な人に振り分けを出来ているという事です。
このような医院が利益を出せないわけ、ありませんよね。
歯科衛生士の求人を出すのにお勧めの求人サイト
弊社でも求人サイトを運営していますが、まだまだ規模としては小さいサービスです。
お力になりたいところですが、ここは客観的に紹介できればとおもいます。
- グッピー
- グッピーは老舗の歯科向け求人情報サイトです。
- ジョブメドレー
- メドレーが運営する医療業界向け求人サイトです。
スカウト機能や、安い利用料、最新のUIなど、若い世代にとっては使い易いサービスと言えるでしょう。
最近、メドレーがグッピーを買収したので、今後はサービスが統合されてゆくのかもしれないですね。
転職エージェントも力になります
転職エージェントは、日々様々な医院様とお話をしています。
ですから、少しお話しをさせて頂ければ、
「どんな衛生士さんがこの医院を選んで、どんな衛生士さんが直ぐ辞めるか」
という事が、かなりの精度で理解出来てしまいます。
医院の文化や診療の方法を変えるのは大変ですが、転職エージェントを「自医院を客観視するものさし」として使って頂いている医院様もいらっしゃいます。
当社には歯科医師も在籍していますので、現在3つの医院様と、転職だけでなく、コンサルティングの契約をしています。
場合によっては、決算やアポ調の取り方などについて込み入ったお話をする事も御座います。
まとめ
院長や求人担当者の方々には耳の痛い話だったのではないでしょうか。
ほとんどの転職エージェントにとって医院は「お客様」ですから、ここまでの事は言いません。
むしろ裏で「◯◯歯科医院は条件が悪いから、この求職者だな…」といったように、篩に掛けられてしまっているのが実情でしょう。
自分の医院を客観視できていない医院は、すべてこのような扱いを受けています。
言い換えると求職者が集まらない医院の院長は、自分の医院を客観視できていない医院です。
弊社では、医院が希望する人材像と、就業条件が市場の価値観から著しく離れているようなご依頼を頂いた場合、求職者の獲得が難しい旨をお伝えしています。
それでも医院の条件が変わらない場合、ご依頼そのものをお断りする事もございます。
医院にとっても、求職者にとってもwin-winとなる条件をご紹介してこそ、転職エージェントの価値があると言えるでしょう。
歯科衛生士求人のHellowa.netは、首都圏に特化した転職エージェントです。
「募集しても集まらない」「希望の人材が来ない」「そもそも募集の方法が分からなない…」などお悩みの医院様は、ぜひ一度ご相談ください。